『自己肯定感という呪縛』
転職活動をしていると、自分の強みが分からず悩んでいました。自己肯定感が低いから強みが見つからないのだろうと思い、この書籍を購入しました。
自己肯定感がどういうものなのか、自己肯定感を高めるにはどうしたらいいかを、心理学調査や文化的背景を踏まえながら説明してくれています。
本書の中で、不安になることは悪くなく、むしろ成長のためには必要、的なことが書かれていて、ネガティブ思考な私としては救われたような気持ちになりました。
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以下は私が本書で気になった部分の抜粋です。(自分用メモ)
第1章 | 安易な「自己肯定感を高めないと」信仰の落とし穴¶
- 自己肯定感とは、生まれ落ちた文化のもとで生き抜く力をつけていくことによって得られるもの。
- つまり、自己肯定感が高いということは、「適応力があること」を意味し、自信をもって社会に向かっていけることにつながる。
- 向上心が強い人は、自己肯定感がそこまで高くない傾向にある。逆に向上心が低い人は、自己肯定感が高くなっている。
- 自己肯定感はただ高ければいいというようなものではない。ただ褒めるだけでは真の自己肯定感は得られない
- 褒めれば自己肯定感が高まるというのは幻想にすぎない。こどもに対して褒めて育てて叱らない考え方が広まっている。その結果、打たれ弱く、傷つきやすくなり、きつい状況で頑張れなくなっている。
- 向上心や能力を認め、成長していくように期待を込める、つまり成長していく存在として認めることが大切。
- 人から期待されると自然と頑張るもの。そこに適応感や達成感が得られれば、自己肯定感が高まる。
- 期待に応えられず傷ついているときこそ、向上心をもって頑張る姿勢、頑張ったプロセスを評価し、認めてあげることが大切
第2章 | 「欧米人の自己肯定感は高い」は、ほんとうか?¶
- 欧米人は自己肯定感が高く、日本人は自己肯定感が低いという調査結果が出ているが、文化的要因が関係している。
- アメリカの幼稚園・保育園の先生や園児の保護者は、「自信」をもてる子になることが最も大切だとしている
- 日本の幼稚園・保育園の先生や園児の保護者は、「共感・同情・他の人への心配り」ができる子になることが最も大切だとしている。
- 「生徒の学習到達調査(PISA)」でアメリカと日本を比較した場合、日本 > アメリカとなっている。欧米人の自己肯定感が高さは自分を過大評価する心理を反映している。
- 意識調査を日本語で答える場合と、英語で答える場合で回答傾向が違ってくる。
- できない人ほど楽観的で、自分の能力を実際以上に見積もり、できる人ほど不安が強く、自分の能力を実際以下に見積もる。
- 日本で自己肯定感の向上といって褒めることばかりしても、文化的背景的に合わず、傷つきやすく、心が折れやすい子どもや若者が増えてしまった。
- 本来、日本人は忍耐強い。感情をできるだけ抑制して相手に気をつかわせないようにする。
第3章 | 「自己肯定感が高くないと幸せになれない」という幻想¶
- 自己肯定感を高める上で大切なことは、たとえ結果が出なくてもバンがっていることを認めてあげること、失敗してもそれを反省し、今後に生かそうとする姿勢を認めてあげること。
- 思春期から青春期に、自己否定しなつつ、もがき苦しむ中で、自己形成が進んでいく。その中でも成長しつつある自分を感じることが、真の自己肯定感につながっていく。
- 褒めることの弊害として、「自分は特別」という思いが強くなり、地道に頑張ることができないナルシスト的な性格になりやすい。
- 人とうまくやっていけるかどうかは、自己肯定感を大きく左右する要因と言える。社会規範が内面化されることで、社会への適応感が高まり、自らの社会性に誇りを感じるようになっていく。
- 下方比較というのは、自分より劣る人と比べることを指す。ひどく傷ついたときの一時的な対処法としては有効だが、こればかりに頼っていると、成長路線からいつの間にか逸れていってしまう。
- 上方比較というのは、自分より優れた人と比べることを指す。上方比較には向上心を刺激する効果がある。ほんとうに仕事ができる人、あるいは「できる人」になるための成長軌道に乗っている人は、無意識のうちに上方比較をしている。例としてトップアスリートが挙げられる。
- 「こんな自分じゃダメだ」というのは、表面上は自己否定であっても、ほんとうに自己否定しているわけではない
- そこには自分に対して期待する気持ちがある。自分に期待しているからこそ、もっとマシな自分になろうと思う。さらに言えば、期待に応えられる自分だと信じているからこそ、今の自分じゃダメだと思える。
- きつい状況に追い込まれても、諦めずに頑張ることによって、逆境を乗り越えることができた、という経験を積み重ねることで自己効力感が手に入る。ただ、頑張っても結果につながらない場合は、プロセスに目を向けるように促すことが大切。
第4章 | 成功者・一流アスリートがもつ真の自己肯定感とは?¶
- 成功者ほど、安易な自己肯定をしない
- ネガティブな感情を感じるのは、悪いことではなく、むしろ高いモチベーションを持って取り組んでいる証拠と言える。
- 失敗を直視し、改善点を発見し、次につなげていくことで仕事力が高まっていく。
- 自己を肯定するなら、今の自分の力ややり方を肯定するのではなく、絶えず不安を抱えつつ今の自分を乗り越えようともがき苦しむ自分の姿勢こそ肯定すべき。
第5章 | 「真の自己肯定感」はこうして育まれる¶
- 自己肯定感というのは、あくまでも地道な努力の結果として自然に身につくものであって、小手先のテクニックで手に入るようなものではない。
- 自己評価の形成要因の整理。自己肯定感に関して言えば、これらの自己評価要因が絡み合って自己肯定感が形成されていく。
- 他者から与えられた評価や評価的態度
- 他者との比較
- 実際の成功・失敗体験
- 理想とする自己像との比較
- 自己肯定感を高めるキーワードは向上心と好奇心。
- 人生に挫折はつきもの。大事なのは打たれ強さを身につけること。
- 自己肯定感は他人との関係性の中で育まれていく。
- ポジティブな空想は、それによって安心してしまい、気が緩み、モチベーションが低下するといったネガティブな効果をもつ可能性が高いと言えそう。
- 「不安の効用」を活用すれば、能力や質の向上にもつながる。
- 日本の仕事の着実さは、不安の強さがもたらしている。
- 自己を超えた何ものかのために検診することが大切。だれかのために役に立っている自分、世の中のためになることに必死に取り組んでいる自分、そんな自分を感じるとき、自然に自己肯定感が高まっていく。